てんかんを持つ仲間のための作業所活動について

岡本 朗、下川悦治、熊丸恭子、原田秀逸1、鈴木勇二2
日本てんかん協会福岡県支部、1鹿児島県支部、2本部

(これは第1回アジア・オセアニアてんかん学会での発表の日本語版です)
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 日本においてはてんかんを持つ人々のための社会福祉は保障されていない。 てんかんをもつ人々の約半数は、仕事を得るための彼ら自身の努力と援助にもかか わらず、学校卒業後家庭で過ごすことを余儀なくされている。てんかんを持つ 人々に無くてはならない職業リハビリテーションの施設を提供するために、日 本てんかん協会福岡県支部の会員は1994年に最初の作業所「あかり」を設立し た。さらに2つの作業所、「さざなみ」と「のぞみ」を本年設立した。作業所 を維持するための我々の活動を通して、てんかんを持つ人々のための特別な作 業所の役割の必要性が明らかになった。

方 法

 まず、なぜてんかんを持つ人々のために特別な作業所が必要であるのかを考 察した(表1)。ついで、仲間達の状況と日々の生活の評価を通して、作業所 の障害と役割を議論した。必要な注意事項を併せて考察した。

結果と考察

 図1に示したように、作業所に通所する以前は、全ての仲間の68%が在宅し、 75%が2つ以上の重複する障害を持っていた(図2)。仲間達の職業社ヒの能力は、 作業所への通所によって進歩した(表3,4)。てんかんを持つ仲間の雇用におけ る障壁と作業所の期待される役割を議論し、表5に要約した。個々に調整した 適切なプログラムは様々な障害に基づく障壁を低めるのに有効であった。作業 所のリハビリテーションにおいては、特別な注意を払わなければならないこと も明らかになった(表6)。

結 論

1.在宅を余儀なくされているてんかんを持つ仲間にとって、特別な作業所は、 社会参加および人間性を回復するための出発点に立つために、職業訓練にとっ て非常に重要で有効である。

2.んかんを持つ仲間が作業所に参加するために、適切なプログラムを開発が 必要である。

3.作業所のみならず、総合的なリハビリテーションプログラムが必要不可欠 である。てんかんをもつ仲間の置かれている状況を改善し次の段階に進める ために、地方の実践による多くの経験の積み重ねが必要であろう。

表1 てんかんを持つ仲間にとってなぜ作業所が必要なのか?
1.彼ら自身および家族の熱意にもかかわらず、社会的な順応性が十分でないため に、仕事を得るのが困難である。
2.在宅は、特に若い人々にとって、時間の浪費のみならず不規則な怠惰な生 活習慣をもたらす。
3.雇用者は通常、てんかんに結びついている就職問題について十分に理解し ていない。そのためてんかんを持つ仲間の働く機会が減少している。
4.公共施設が利用できない。
5.てんかんを持つ人のために特別に作られた職業リハビリテーションプログ ラムが用意されていない。

表2 福岡支部が設立した3つの作業所
  
名 称入所者数障害 人数職 員数設立年
あかり*15 てんかん 15
知的障害 13
精神症状 3
自閉症 1
31994
さざなみ5 てんかん 4
精神症状 3
知的障害 1
21996
のぞみ5 てんかん 5
知的障害 4
11996
*第5ひかり共同作業所

表3 メンパーの日課と年間行事予定

日 課


   9:00  職員出勤
  10:00  仲間出勤
       トイレ掃除(交代)
       作業
       昼食準備(週2回)
  12:00  昼食、休憩
  13:00
   l    作業
  15:00
   l    ミーティング
  16:00  帰宅
       職員会議

年間事業


   5月  九州ブロック大会(熊本)観光を兼ねる
   8月  ホームコンサート
   9月  地域バザー(年3、4回)
       野球、サッカー観戦
       キャンプ日本てんかん協会と合流
   11月  作業所バザー
   12月  忘年会、クリスマスパーティー
    3月  旅行

*親の会と誕生会は毎月開催

表4 作業と賃金


 作業内容:
    きなことひじきの袋詰め
    廃油から石鹸製造
    下請け作業
 賃金:
    個々の生産性に基づいて支払う
    月5千円 - 万円
    ボーナス1万円 - 4万円

表5 てんかんを持つ仲間の雇用の障壁と作業所の役割
障 壁作業所の役割
個人 順応性が欠如、協調性が困難、依存心が強い、自発性がない、気まぐれ 個々の役割を設定、毎日の活動を通じて友人を作る、食事と金銭の管理
自己の障害の受容を拒否:責任転嫁、不適当な自己評価 友情とピアカウンセリングを通して自分の障害の受容を援助、自信の回復を勇気づける
肉体的に不安定:仕事遂行に際して忍耐力が無く不安定 医師との緊密な連絡、個々に適したプログラム設定
体カが無い 運動のスケジュールを用意
障害:知的障害、精神症状 個々の障害の理解とそれぞれに適したプログラムを提供
家族 親が子供の実際の状態を認めない 家族と緊密な連絡:毎月の家族との会議
社会 リハビリテーションのための組織的な設備が無い 作業所の必要性とアピール、行政と社会に十分な資金を要請、地域作業 所の実践による経験を蓄積する

表6 作業所のリハビリテーションにおいて必要な注意
1.仲間自身による不適当な判断と決定を補うために、指示が必要不可欠であ る。一つの作業を終えてから、次の指示を与えるべき。
2.ある伸間にとっては他の伸間より友人関係を作るのに時間を要する。他と の関係を着実に進められる仲間もいる。
3.金銭管理は重要である。多くの伸間がきちんとしたSSTプログラムを必要 とする。
4.多くの伸間にとってフルタイムの仕事は困難であるが、パートタイムなら 可能である。適切なプログラムと、体カ増進のための運動が重要である。
5.発作は作業能力に影響しないであろう。それは発作の妨害をどのように克 服するかにかかっている。
6.通勤中の発作の可能性は心配ではあるが、適切なルートと時間、そしてあ る期間実際に練習することで解決するであろう。通常ではない原因で自分で 方法を選ばねばならない事態に遭遇した場合の混乱を最小限にする用意をし ておく。
7.リハビリテーションの最終目標はグループホームのような独立した生活に 置かれるべきである。入浴中の事故に対する心配を除去しなければならない。


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