セカンドオピニオンの上手な受け方

●一般病院の立場から


聖母病院・小児科医長 栗屋 豊



(社)日本てんかん協会機関誌「波」2003年4月号pp.111

Last updated May.3.2003



●●7年前の特集

 このテーマは、「波」の特集としては、一九九五年八月号以来二回目と思われます。この時 はセカンドオピニオン上手な診療の受け方として、まず「波の会」事務局で実施した患者 さんのセカンドオピニオン(この時は転院についても)に対する考え方の実態調査結果と、それ を受けて、成人および小児期の診療する立場から、大沼悌一先生と私がコメントをのせました。

 七年以上前の結果は、基本的には今と大きな変化はないように思えます。しかし現在はイン ターネットが普及し、医療機関からの発信のみならず患者自身が、自分の闘病記を発信したり 意見交換をしたりしやすい環境になり、このセカンドオピニオンという概念も徐々に普及して きたように思われます。

 てんかん医療も他の慢性疾患同様、広範な側面をもち、一人の医師、専門医のみでは、十分 に対応できないところがあります。専門性や立場の違いでみかたも異なってきます。それを補 完するものとして、セカンドオピニオンも利用可能です。

 また人間の心理として、てんかんと診断されたとき、また脳外科手術を勧められた時など、 それがたとえ本人としてわかっていても、気持ちの整理をつけるためにも、もう一回専門医か らそれを確認したいというのは、必要なプロセスかもしれません。数年、時には一生おつきあ いするかもしれない疾患の場合は、患者さんやご家族がしっかり病気を受容し、見通しをもつ ことが必要だからです。

●●セカンドオピニオンの実際

 私の病院にも、セカンドオピニオンを求めて来られる家族があります。その理由としては、 「てんかんといわれたが本当か」、また「どういう日常生活を送ったらよいか十分な説明がなか ったから」、「中々発作が止まらないが良い方法は?」、「主治医を変えたいが」等々があります。

 その多くの場合は、主治医からの紹介状はなく、主治医に黙ってきておられます。セカンド オピニオンをうける立場としては、紹介状はなくてもよいですが、発病後の経過をできるだけ 詳しくまとめ、かつ発作表をつけてきていただけると有難いです。親御さんの希望にもよりま すが、脳波検査と血中濃度採血などをしたうえで、分かる範囲のお話をすることが多いです。 そして基本的なところで問題がなければ、今かかっているところでの継続診療をすすめていま す。そして「主治医の先生に本音でぶつかるように」お話しし、医者の上手なかかり方なども 説明しますと、納得され、てんかんと正面から取り組む姿勢を強めて帰られるようです。 このような具体的な受診行動をとらなくても、「波の会」の各支部で実施している、講演 会とその後の質疑応答、個別相談などに積極的に参加して、色々な専門家の意見を聞くことは、 どんどんされるとよいでしょう。

●●近所の病院を転々相談事例から

 「波の会」事務局が受ける相談の中に「すぐ治らないから、近所の病院を転々としている」 方の相談が多いとうかがいました。確かに一般の方は、お医者さんなら何でもわかるという認 識のようですが、専門医か否かで対応が随分違うのです一安易に近場の先生と決めずに専門で かつ納得できる説明をしてもらえる医療機関を探すべきです。少々遠くても、結局は時間的、 経済的にも得をするはずです。そして専門医にめぐりあったら、今度はきちっと二人三脚で治 療を継続する事が重要です。すぐ治らないからと病院を転々と変えるのは、患者さん自身が損 をします。

 適切な患者・医療者関係の確立のために、セカンドオピニオンは一つの必要な手段と思われ ます。またそれとともに、この情報化時代、慎重な病院選びもまた重要です。

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