新抗てんかん薬クロバザムの紹介

久留米大学医学部精神科 石田 重信



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久しぶりの新薬
 クロバザムは昨年5月にマイスタンという商品名で発売された抗てんかん薬です。日本ではゾニ サミド以来11年ぶりの新薬ということになります。クロバザムが登場して1年足らずですが、多くの 難治性てんかん患者さんで臨床発作が改善しています。

クロバザムとは
 クロバザムは1966年に開発されたベンゾジアゼピン系の薬物です。ベンゾジアゼピン系薬物とし ては、すでにジアゼパム、クロナゼパム、ニトラゼパムが抗てんかん薬として使用されています。

開発の経緯
 クロバザムは1979年に抗てんかん薬としての臨床試験が初めて行われました。以後ヨーロッ パで多くの臨床治験が行われ、現在では約90カ国以上の国で承認、市販されています。日本では、 平成2年にてんかんに対する本格的な臨床試験が開始されました。

日本での臨床試験の成績
 前期第II相試験(臨床試験については2000年10月号を参照してください)では、難治てんか ん83人中57人(73%)で発作が半分以下に減り、このうち22人(28%)で発作が止まりました。発 作が止まる、あるいは半分以下に減ったものを有効とすると、その後の後期第III相試験では71%、 第III相試験では64.2%で有効でした。一方小児を対象にした臨床試験でも、症候性部分てんかん 患者で71%、レンノクス・ガストー症候群で68%に、第III相試験でも57.5%で有効でした。

効能
 クロバザムは、現在発売されている抗てんかん薬で十分な効果が得られていない場合の併用薬で、 有効な発作型は全般性強直間代発作、強直発作、非定型失神発作、ミオクロニー発作、脱力発作、 単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化強直間代発作です。服用量は1日10-30Jが適量で最 大投与量は40J、小児では1日体重1Lあたり0.2〜0.8Jが適量で最大投与量は1Jです。
 クロバザムを服用する上で、いくつか注意点があります。クロバザムの発作を抑える効果はクロ バザム自体だけでなく、服用後体内で代謝されてできたデスメチルクロバザムにも認められ抗けい れん作用に重要な意味を持っています。クロバザムの血中濃度は約1週間で安定しますが、デスメ チルクロバザムは4週後でもまだ上昇し続けます。従ってクロバザムを服用し始めて4週間以上たっ てから効果がみられたり、逆に副作用が問題になることがあります。もうひとつの注意点として、 併用薬剤との相互作用があります。クロバザムを服用し始めてから、それまで服用していた抗てん かん薬、特にフェニトイン、バルプロ酸ナトリウムの血中濃度が上昇し併用薬剤の副作用が出てく ることがあるので注意が必要です。

副作用
 臨床試験で副作用を調査された350例では、主な副作用は眠気(38.6%)、ふらつき・めまい (10.9%)で、クロバザム特有の副作用はみられず、抗てんかん薬に一般的にみられるものでした。

効果耐性の出現について
 ベンゾジアゼピン系薬物に一般的にみられる効果耐性(効果が徐々に薄れていく"慣れ"の現象) はクロバザムでもあります。臨床試験の結果では3ヵ月で18%、6ヵ月で33%に効果耐性が見られ ましたが、6ヵ月以後は極めて少ないことが分かりました。

 以上、クロバザムについて簡単にご紹介しました。発売後一年足らずですが、クロバザムは極め て有効な抗てんかん薬であり、今後てんかん診療になくてはならない貴重な薬になっていくものと 思われます。

機関誌「波」2001年5月号 p.129
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